GRC18分科会より:「ビジネスと信仰生活」(1)

5月に行われたGRC18(Global Returnees Conference)での分科会より、新納真司師による「ビジネスと信仰生活」を2回に分けてお届けします。


「ビジネスと信仰生活」(1)
新納真司
(横浜都筑ニュータウンチャペル協力牧師・上海JCF顧問牧師)

目次

0.自己紹介
1.ビジネスと信仰生活
(1)職場での証しについて
(2)汚職
2.キリスト者の労働観念
(1)創世記
(2)第Ⅰペテロ2:9
3.ビジネスパーソンの強み
(1)世との接点/鹿子木宣教師
(2)グローバルマインド
4.できれば会社経営しなさい
(1)管理者としてのマインドセット
・不正な管理人
(2)いくらで生活するか
(3)貯金から始める

0.自己紹介

1963年生まれ 横浜市出身
大学1年に洗礼を受けKGK活動に加わる。大学卒業後は建設会社に勤務。構造設計、地下鉄建設に11年携わる。その後献身し、12使徒共同体神学校卒業。牧会経験を経て2007年に日本語教会「上海JCF」を開拓。2017年帰国。
横浜都筑ニュータウンチャペル協力牧師
上海JCF顧問牧師
BBT大学院経営学研究科在籍
有限会社大久保会 代表取締役

1.ビジネスと信仰生活

(1)職場での証しについて

私は大学生の時、クリスチャンになり希望して建設会社に就職しました。
かっこいいクリスチャンビジネスマンになり、証しをすることが目標でした。
でもできませんでした。なぜできないかと言えば、会社で宗教の話するな、勧誘するなとかそういう話になってしまうのです。

その時の私は仕事を覚えるのに必死で、ミスすれば叱られる、その様な下っ端の働きで、とても耳を傾けて聞いてくれるそのような人ではなかったのです。もし私がこの職場でキリストを伝えたいと思うなら、まず自分自身がどういう人なのかを行いで現さないといけないと知ったのです。それからは、クリスチャンであるということだけは伝えていますが、積極的に証しするということはありませんでした。それでも個人的に聞いてくる人がいるものです、そういう時は話ました。

社会人になって、7年位たったころ私は現場配属となっていました。東京都内の地下鉄工事現場です。道路全体が工事現場の敷地内で、道路両側は高いビルが立ち並んでいました。ある時、このビルから飛び降りて自殺した人がいました。その知らせが、事務所にも来ました。警察と救急車が来て、死体はあっという間に片付いてしまいました。運悪くと言いますか、落ちた場所は丁度今夜杭を打つ場所でした。人が死んだ話はあっという間に作業員たちにも知られ、動揺が走っていました。作業員たちは気味悪がって仕事をしたがりません。事務所では所長が花と酒を買ってきて、坊さんにお祓いしてもらえ。急に来てくれる坊さんなんていません。そんな会話が飛び交いました。「ええ、この事務所に坊さんが来てお祓い」をするのか、私はクリスチャンであるのにいったい私は何なんだ!というような義憤の気持ちが沸き上がってきました。それで、私は思い切ってこう言いました。

「所長、お祓いなら私ができます、お坊さんは必要ありません」

いつもは鬼のように恐ろしい所長の前で、自分でも信じられないくらいりりしい声です。「そうか、お前クリスチャンだったな、だったら新納にやらせろ。それで、私は事故現場で賛美歌を歌い、主に礼拝を捧げ、仕事の無事を祈りました。その夜、作業員たちは「新納さんはクリスチャンでちゃんとお祓いしたから大丈夫らしい」と聞いて安心し、工事は止まることはありませんでした。クリスチャンとして証し出来た、印象に残る場面です。

単なる良かったねという話ではなく、Ⅰペテロ2:9しかし、あなた方は選ばれた種族、王である祭司、聖なる国民、神の所有とされた民です。それは、あなた方を闇の中からご自分の驚くべき光の中に招いてくださった方の栄誉を、あなた方が宣べ伝えるためなのです。このみ言葉から、牧師であるかないかにかかわらず、祭司である。神と人々とを仲介する祭司である。職場に送られた、宣教師であるという意識を持っていたからです。

Q.あなたはクリスチャンとして職場にどういうメリットを与えることができるのか、考えてみましょう。

(2)汚職

クリスチャンビジネスパーソンを悩ませる問題として、汚職があります。うそをつかなければならない、数字をごまかさなければならない場面に直面したらどうするか。この中にも現実に苦しんでいる方もいるかもしれません。中国ビジネスではわいろを贈るかどうか迷うのではなく、わいろを要求されちゃう。

贈らないと許認可がおりない。あからさまに意地悪をされる。わいろを贈ると違反も罰金も帳消しになる。日本でのコンプライアンス規定がありまして…なんていうとすぐ、さよならされる。仕事にならない。

汚職についてこれという単純な答えはないと思います。

これは私の考えですが、一つ目に組織人として動くときには、組織のルールに従います。上司の命令に従って動くことが求められるからです。二つ目に、けれども自分が上司になったときには新しいルールを提案し、それを行えばよいのです。ですから、部下でいるとき「いつも自分だったらこうしたらいいのではないか」と考えておくことです。このように自身の立場に従って、職場の習慣を改めていけることがベストであると考えます。

しかし、習慣や慣例というものは大きく、なかなか変えられないのが常です。それでしぶしぶ元の習慣にしたがってしまうことがあります。悩みますね。それでいいと思います。

アブラハムの甥のロトはⅡペテロ2:7に義人とされています。彼はソドム、ゴモラという不品行の町に住み心を痛めていたとあります。彼も世の中の流れに正しいことを行いたいと願いながら、翻弄され悩んで生きていた人です。ソドムの町が滅ぼされるとき、彼は救い出されました。彼は義人と称されました。Ⅱペテロ2:7そして、不道徳な者たちの放縦な振る舞いによって悩まされていた正しい人、ロトを救い出されました。彼は正しいことを行いたいと願いながらも、実社会でそう出来ないで苦しんでいました。しかし、主は救い出してくださる方です。クリスチャンが異教社会で苦しんで生きる姿と重なって来るではありませんか。

三つ目に明らかにこれは見逃せないというものは、そのことを主張したほうがいいということです。

オリンパスや東芝の不正会計※1、神戸製鋼や日産文書偽造※2のことを思い出してください。どれだけ、会社の名前を傷つけたか、損失を被ったか。日本の企業では単独の汚職はありません。会社全体が運命共同体となっています。おかしいなと思うようなことでも皆で見ぬふりを決めるのです。それで、内部告発で明らかになり、外部の人が裁くというケースが多いです。不正が会社にとって、大打撃を与えるのにそれを黙っているのは企業人と言えません。職場は神様から与えられたミッションフィールドであると思うなら、その職場を愛し、職場の人々が健康で、健全な働きをもって社会貢献していくことを願うべきです。誰かに外部告発される前に、内部で自浄作用を及ぼして会社に被害が及ばないようにすることが本当に職場を会社を愛し、ひいては会社に利益をもたらす人ではないでしょうか。

聖書では「あなたがたは地の塩です。あなた方は世の光です。マタイ5:13、14」。組織の命令には従うという、ベースを持ちながらも時には、違うことを「違っているのではありませんか」という勇気を持つことができるのは真実な神を知るクリスチャンの強みです。

Q.あなたは今職場でどんな問題を抱えていますか。

2.キリスト者の労働観念

普段教会では、このような会社の話が出てくることは少ないのではないでしょうか。教会=きよい所、会社や世の中=汚れた所、罪深い世界、あまりかかわりたくない領域と思われがちです。確かにその通りなのですが、では人が働くことについて、聖書は何と言っているのでしょう。

(1)創世記1:15神である主は人を連れて来て、エデンの園に置きそこを耕させ、また守らせた。

労働は人が罪を犯す前から、神が人に与えたものでした。ですからこれは本来よいものであり、祝福されたものです。労働を人間の罪の結果と考える人がいますが、違います。人が罪を犯す前から労働はあったのです。でも罪の結果、労働には苦しみが伴ったというのが正しい。

エペソ4:28むしろ困っている人に分け与えるため、自分の手で正しい仕事をし、労苦して働きなさい。

Ⅱテサロニケ3:8パウロは夜昼労し苦しみながら働きました。

キリスト者の労働観は勤労ですし、働くことはみこころです。

(2)第Ⅰペテロ2:9

先ほども上げましたが、Ⅰペテロ2:9しかし、あなた方は選ばれた種族、王である祭司、聖なる国民、神の所有とされた民です。それは、あなた方を闇の中からご自分の驚くべき光の中に招いてくださった方の栄誉を、あなた方が宣べ伝えるためなのです。

あなたには王という職務が与えられており、あなたには祭司という職務が与えられている。

王とはリーダーであります。イエス様は実際、神の国の王でありました、地上では王のように仕えられる存在でなく、キリストはしもべなる王と言われ国民を愛し、弟子や人々に仕えられました。仕えられるためではなく、仕えるために来たと言いました。現代風に言えばサーバントリーダーシップを実行されたのです。けれども、本来の身分は王でありました。王とは国民を幸せにするために仕える存在です。

また、祭司とは何ですか。祭司とは神様と人々をつなぐ仲介者です。仲介者とは神にも通じ、人々にも通じている人です。人々の苦しみや願い事を神に届ける人です。また神のお告げを人々に伝える人です。

私たちは働く中において、王として振る舞っているでしょうか。祭司として振る舞っていますか。自分はとても王や祭司なんかではないと考えるかもしれません。自分はまだ若いし、経験もなく、上司がたくさんおり…。実は年齢や能力は関係ありません。大切なのは身分です。王であり、祭司である身分を神様が授けました。クリスチャンは神様の視点で物を見なければなりません。あなたの上司がどんなに偉い人でも、神様から見ればただの人です。助けてあげなければ、滅びてしまう一人の人です。けれども、あなたは違います、神を知り、罪を清められ、あなたの職場に神の恵みをもたらすことのできる、唯一神が話せる人です。神様にとっては、あなたがまことの王であり、頼みのリーダーです。

また牧師とか宣教師とかの称号が大切なのではありません。牧師や宣教師はあなたの職場に来ることはできません。けれども、あなたは貴方の職場に来ることができる唯一の存在です。神さまはどの位あなたに目を注いでおられるでしょうか。

私が一番感動したのは、「あなたは職場に送られた宣教師です。」という言葉です。

これで、私は自分のイメージが変わりました。私はこの職場で王であるけれど、しもべとして仕えるのだとして、奉仕しました。かかってくる電話に積極的に出るようにしました。本当は電話を取り次ぐだけでも、時間のロスですからみんな出たがりません。職場でゴルフに行くときは、朝早く起きて運転手をします。祭司として、会社が儲かるように祈りました、社長のため、事務所の所長のため、同僚のため祈りました。建設現場ですから、事故は厳禁です。事故が起これば、長期間仕事ができなくなり、ペナルティもあります。それで、この職場では事故で怪我したり、死んだりする人がいないように祈りました。神様はこの祈りに応えてくださり、150万時間無災害記録を出して会社から事務所が表彰されましたが、祭司としてとりなした結果ではないかと思っております。

Q.あなたは、自分の仕事や役割を神様から与えられたものと考えていましたか。

 神様が職場に送られた王や祭司であるとしたら、どのような役目が与えられていると思いますか。

つづく


※1 オリンパス 2011年巨額損失を飛ばしで隠蔽し、負債を粉飾決算で処理した。

東芝不適切不適切会計処理 2008年度から2014年度まで1518億円の不適切会計。トップを含めた組織的関与だが、田中社長は否定。

※2神戸製鋼や日産文書偽造 神戸製鋼は2017年10月、強度などの性能データを改ざんを公表。日産自動車は2017年9月、無資格従業員による完成検査及び書類偽造公表。

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